コーポラティブハウスを選ばれたきっかけは?


もともと陶器や漆器に、⾰や⽊を使った素材感のある家具が好きだったので、そういった好きなものを合わせた空間で暮らしたいなと思っていました。当初は、奥沢や⾃由が丘近辺で分譲マンションを探していましたが、なかなか思ったような物件がなくて、たまたまインターネットでコーポラティブという住まい造りの⽅法があることを知ったのがきっかけです。
 
コーポラティブハウスの話を聞くうちに、時間はかかるけれども、好きな空間や⾊・素材のイメージを膨らませることができるこの⽅法が⾃分に合っているのではないかと思いました。
 

コーポラティブハウスを造るにあたってのコンセプトは?


⾃分が落ち着く空間は、和のイメージをできるだけシンプルに洋室に取り⼊れたものだということが、なんとなく分かっていたので、ベースは機能的な洋室で、陶器や漆器、和箪笥など和のインテリアがさりげなくポイントとなる空間を⽬指しました。ゼロワンさんには、イメージとして「⽇本が⼤好きで、⾻董品などを集めている外国⼈の部屋みたいにしてください。」と伝えました。和室は天井の⾼さを低く、あえて暗く落ち着く空間にしていますが、⾊や素材はシンプルに抑えて洋に通じるモダンな感じにしています。


 

 

 

 

⼊居して約7年が経ちますが、住んでみていかがですか?


とても居⼼地がいいです。冬は床暖房に南側の⼤きな窓から⼊る光が暖かく、夏は和室で⾵を通しながらのんびり過ごしたり、好きな場所を⾒つけて移動している感じです。

最初、図⾯で⾒ていたときは、住み⼼地まではよく分からなかったのですが、⼀年間、四季を通して住んでみて、光や⾵の⼊り具合や、昼と夜の雰囲気の違いなど、⼩さな違いが楽しめて発⾒があります。料理が好きなのでキッチンに⽴つことが多いのですが、南側の家の中⼼にキッチンを作って良かったなあ、といつも思います。
 

プロジェクト進⾏中の思い出はありますか?


プロジェクトの最初に、⼊居者同⼠で居酒屋さんで顔合わせ兼飲み会のようなものがあり、そこで各⾃「今、こんなことを考えています」とプランの発表を⾏いました。皆さん素敵なテーマがあって、聞くのがとっても楽しかったです。周りにコーポラティブハウスに住んでいる⼈もいなく直接話を聞くことが難しいので、まず⼊居者が仲間となって、床材はどうしました?」など情報交換をしたり、⼀緒に悩んだりしていました。
 

⼊居者間のコミュニティはいかがですか?


建物ができるまでは、なかなか細かいことを相談できる相⼿がまわりにいないので、節⽬節⽬で「ちょっと集まろうか」と⾔っては、みんなで熱く、床や壁・ドアノブ・キッチンの仕様やサッシの形状まで語って、コミュニティで苦楽をともにしました。特に後半は、本当に期⽇までにできあがるのか、とか、最初の⾒積もりが⾼すぎてどうしよう、とか、不安なことも結構あったのですが、皆さんで集まって話すことで、壁を乗り越えてきた感じです。

⼊居してからはホッとしたのか、そういう熱い集まりは無くなりましたが、⼊居前からお互いのことをよく知っているので、外でばったり会ったら⼩さいお⼦さんまで挨拶してくれるし、それでいて、適度な距離もある感じで住んでいます。
 

創作住居を検討されている⽅に⼀⾔どうぞ。


⾃分が住むところを⾃分で考えて造ってみたい、と思う⼈は、ぜひトライされると良いと思います。最初は何も分からなくても、⼼地よさのイメージが少しでもあれば、あとはゼロワンさんがうまくフォローしてくれると思います。 

例えば私は、いくつかあるデザイン案のうち、リビングにRの壁を施すと良さそうだと思ったのですが、その壁の質感を⾼めて電気スイッチなども隠せるような厚みのある塗り壁を提案してくれたのは設計⼠の⽅でした。確かに壁に厚みがあると、⼟づくりの家のような陰影のある不思議な雰囲気が家の中⼼にできて、夜、暗めの照明をつけるととても落ち着いた空間になります。こういう空間の質というものは、設計段階では分かりませんでしたが、⼊居して初めて実感でき、今も⼼地よく感じている部分です。

それまで住んできたマンションではこういう空間の⾯⽩さは想像ができなかったですね。Rの壁以外にも、好きな海外のペイズリー柄の壁紙や地中海ブルーの壁紙を貼ったり、思い切って冒険したところが、⼀番⾃分としてしっくりなじんだところです。

H様は、アンティークの和箪笥や⾏灯などを、転勤先の⽶国ニュージャージー州まで持っていったり、和室の襖の唐紙を選ぶのに、京都の「唐⻑」のサロンや修学院の⼯房に何度も⾜を運ぶなど、家具やインテリアへのこだわりがとてもある⽅です。住まいに合わせた家具を選ぶ⽅が多い中で、愛着のある家具や⼩物が活きるように、住まいの空間を考えた、という発想は斬新で、それが実現できるのもコーポラならではだと思いました。 H邸は、京都のご出⾝で留学や海外赴任経験など、ご⾃⾝も和洋のどちらの⽂化も好きというHさんの考えが住まいに調和しています。